体内にいる細菌類と、うまく共生していくことの大切さが、長きに渡り研究されてきています。
■細菌と人間の強い結びつき
地球上には、微生物がひしめいていて、あらゆる環境に適応して生息しています。南極氷床の800メートル下、90°C以上ある深海の熱水噴出孔にも微生物はいて、その強かな生命力には驚くばかりです。
そして、私たちも微生物と共生しているのです。例えば、手のひらには、何千万という微生物がいるとされ、口から肛門までつながる私たちの消化管は、微生物の群生地域といっていいほど、多種類多数の微生物が生息していることがわかっています。群生している微生物を、マイクロバイオーム(細菌叢、さいきんそう)と呼びます。その中で、人間のからだの内側や外側にいる微生物たちは、「ヒト・マイクロバイオーム」と呼ばれているそうです。
■腸内環境とマイクロバイオーム
特に、腸内のマイクロバイオームは、消化吸収のみならず、免疫力やメンタル、脳の活動など、からだにさまざまな影響を及ぼすことが研究により明らかになっています。マイクロバイオームの状態は、個人によって異なり、食生活、ライフスタイル、住む環境などが影響を与えるようです。
食生活では、マイクロバイオームの活動をサポートする有用菌(プロバイオティクス)そして有用菌の餌(プレバイオティクス)を含む食品の摂取が、密接に関連するとされます。プロバイオティクスを含む食品は、ヨーグルトや糠漬けなどの発酵食品、プレバイオティクスは食物繊維を多く含む野菜、果物、未精製の穀類などに多く含まれます。腸内環境を整えることは、からだ全体の調子を整えること。これらの食品を日々の食生活に取り入れ、さらにサプリメントなどで補うなどして、マイクロバイオームを整えていくと良いでしょう。
参考:株式会社早川書房「腸科学」