食糧廃棄量の約半分は家庭から。食品ロスを見直そう。

冷蔵庫の中を見てみると、もう食べることができそうにない、いつの物か記憶が定かでない
食品はないでしょうか。湿度と気温が高くなる梅雨シーズン、食品の保存には、十分に気をつけたい季節です。

そして、食品を捨てることは、家庭でも、外食でも、できるだけ避けたいことです。

食品ロスの削減は、世界的な目標の一つとなっています。最近、目にすることの多いSDGs、国連「持続可能な開発ための2030アジェンダ」(Sustainable Development Goals,2016年策定、2016年~2030年の国際開発目標)の中で、2030年までに、世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させることが、掲げられています。

食品ロスには、余分な食糧生産により、多量の無駄なエネルギーが消費される、廃棄の際の運搬や焼却で余分なCO2が排出される、といった環境問題があります。一方、世界の9人に1人が栄養不足(約8億人)です。これから世界人口は77億人(2019)から97億人(2050)に増え、栄養不足の深刻化が見込まれるという食糧問題があり、これら環境問題、食糧問題の両方の解決につながるとして、食品ロスの削減が世界的に課題となっています。

世界全体での食糧廃棄量は、年間約13億トン(国連WFP日本レポート2018年)で、人の消費ために生産された食糧のおおよそ3分の1が廃棄されています。アメリカ、ヨーロッパ、中国、日本などの先進工業国では、アフリカ、南・東南アジアなどの開発途上国よりも、食品ロス量が多くなっています。日本における食品ロス量は、年間約612万トン(平成29年度)。このうち46%の284万トンが家庭系食品ロスで、1人当たりは年間約48㎏で1日約132g、約お茶碗1杯分のごはんの量です。残りの328万トンは工場、製造、卸、小売り、外食などの事業系の食品ロスです。

身近にできることとしては、まず、賞味期限、消費期限を正しく理解しましょう。賞味期限は、もっとも美味しく食べられる期限で、それ以降、すぐに食べられなくなるというわけではありません。一方、消費期限は、サンドイッチ、おにぎりなど、比較的いたみが早い食べ物で、それ以降は食べないほうがよいとされています。また、買い物のときに、奥から取らずに手前からとることも食品ロスへの協力の1つです。食材を上手に使い切る、宴会・外食での食べ残しを減らし、気持ちよくお開きに、などを心がけて、食品ロスを1人ひとりが減らし、持続可能な世界の実現を目指していきましょう。

参考:「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢、令和2年5月時点版」農林水産省食料産業局、国連WFP日本レポート2018/9/19