五行説に学ぶ季節の養生、真夏の過ごし方編。

中国の古代哲学のひとつである「五行説」では、自然界とからだの状態は密接につながっていると考えられています。一年の中で最も気温と湿度が高くなる真夏は、自然界のすべてが生長する時期であり、人の新陳代謝も活発になると言われます。

■真夏のからだの傾向は?
夏に対応する五臓は「心」。「心」は「神(精神)」の宿るところであり、脈のおおもととなって血の循環を支配する生命活動の中心と考えられています。「心」が充実していれば心拍数も脈拍も正常に保たれますが、真夏の暑さは心拍数を速め、心気に負担をかけるため、「心」をいたわることが必要に。また、「心」は血液の循環だけでなく、精神、意識、思考といった神経活動にもかかわっており、バランスがくずれると不安感や不眠、動悸といった症状がでることがあります。

■汗とともに失われるものにも注意
暑さが厳しくなると、からだは汗をかくことで体表を冷やそうとします。汗は「心液」という別名があるほど「心」と深くかかわりがあるため、「心」を静めるような食物をとることが有効。汗をかくとからだの水分が不足しますが、単なる水ではなく、汗とともに失われるビタミンやミネラルなどの栄養を食物からとることが大切なのです。

■真夏にいただきたい自然の恵み
からだに必要なものは自然界が提供してくれています。たとえば、レタス、トマト、きゅうりといった水分たっぷりの夏野菜がそうです。暑くて夏バテしそうと感じたら、十分な休息とともに、積極的に夏野菜をとりましょう。また、真夏の五味は「苦」ですので、「心」が弱ったときの食材として、ピーマン、ゴーヤなどの苦みがあるものをおすすめします。また、栄養補給のサポートには、「心」と対である「小腸」をサポートする植物由来のドリンクなど、バランスのとれた栄養補給を心がけましょう。

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